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労使協定とは、労働基準法その他(育児・介護休業法、高齢者雇用安定法等)によって、企業が、「当該事業場の労働者の過半数を組織する労働組合」、または、そのような労働組合がない場合には「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」(以下、過半数代表者)との書面による協定を締結した場合に、その協定の内容の限りで法の規制を解除する効果(免罰的効果)を与えるものです。

労働者の過半数を代表する者

「労働者の過半数を代表する者」は、事業場の労働者を代表して当該事項の協定を締結するにふさわしい者です。従来その被選出者の資格や選出方法は、通達に基準が設定され、時間外休日労働協定(36協定)の届出様式の過半数代表者の「職」「選出方法」の記載で指導されてきており、1998年の労基法改正の際、労基法上の管理監督者でないこと、および労使協定の締結等を行う者を選出することが明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること、という要件が定められました。

労使協定における「労働者」の考え方

ここでいう「労働者」とは労働基準法第9条に定められる「労働者」です。つまり、労働契約によって労務を提供しているものは、すべて「労働者」となります。

したがって、正社員のみではなく、パートタイマー、期間雇用労働者、アルバイトなども含まれます。また、病欠、出張、休職期間中等、当該協定期間中に出勤がまったく予想されない者も含まれます。なお、派遣労働者の事業場は、労基法第34条の休憩時間に関する協定を除いて、派遣元であって、派遣先ではありません。

親睦会の代表=過半数代表ではありません。

親睦会の会長をそのまま労使協定の過半数代表者にするのは、不適法となります。なぜなら、親睦会の会長というだけでは、何ら事業場の労働者から当該労使協定を締結するにふさわしい者として選出がされていないためです。

過半数組合がそのまま過半数代表者と認められるのは、労働組合の性格上、労働者の利益のために活動するものであることから、当該組合が事業場の過半数を占める以上、改めて事業場の労働者の信任を確認する必要がないからです。

裁判例においても、労働者の親睦団体の代表を自動的に労働者代表として締結した協定を不適法・無効としたものがあります(トーコロ事件)。

過半数代表者の要件の厳格化

過半数代表者の選任については労働基準法施行規則第6条の2に定められています。

1.労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

2.労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。

これに加えて、2019年4月からは、

3.使用者の意向に基づき選出された者ではないこと

が加えられました。この背景には、過半数代表者を選出するに当たり、会社が指名するなどの不適正な取扱いがみられたことがあります。

過半数代表者の選出方法

過半集代表者の選出方法として考えられる例として、

①あらかじめ立候補者を募っておき、全員が集まる朝礼や会議の場で、投票をしたり

②立候補者が一人の場合は、この立候補者で良いのか、信任投票を行うこと

③全員が集まる機会がなかなかないということであれば、回覧やメールを活用した選出も可能です。

不利益取扱いの禁止

企業は、労働者代表であること、労働者代表になろうとしたこと、労働者代表として正当な行為をしたことを理由に、解雇、賃金の減額、降格等、労働条件について不利益な取り扱いをしてはなりません。

この「労働者代表として正当な行為」には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制における労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれます。

まとめ

過半数代表者の選出方法が要件を満たしていない場合、労使協定は無効となり、法的効果(免罰的効果)を有しないこととなります。したがって企業は、この要件を満たさない36協定などに基づいて時間外労働等を行わせれば、労働基準法違反となりますので、注意が必要です。


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