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 割増賃金は、通常法定労働時間数を超えて労働した場合の時間外労働や、法定休日に出勤した場合の休日労働手当、深夜労働などの深夜割増手当等があります。要するに長時間にわたり労働させた場合や休日に労働させた場合、深夜に労働させた場合に、使用者に対して、高い割合の賃金を支払わせることで負担の大きい長時間労働や深夜労働に対する相応の補償を行わせようとするものです。

通常の労働時間または労働日の賃金の計算額

 労基法37条が割増賃金の計算の基礎とする「通常の労働時間または労働日の賃金の計算額」とは、労基則19条で定めた方法によって計算した金額に、法定労働時間を超えて延長した時間数、休日の労働時間数、深夜労働の時間数を乗じた金額と規定されています。

 つまり完全月給制であっても、これをいったん、時給に換算して法定時間外労働1時間当たりの単価を出しておき、給与対象期間における法定労働時間を超えた労働時間数等に応じた割増賃金を支払うことになります。

労基則19条

【労基則19条】
①時間給
 時間によって定められた賃金については、その金額
②日給
 日によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数(変形労働時間制をとる場合や、平日の所定労働時間は7時間であるが、土曜日のみは4時間である等のように、日によって小弟労働時間数が異なるときは、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額
③週給
 週によって定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なる場合は、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額
④月給
 月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額
⑤旬給等
 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、①~④に準じて算定した金額(旬給、半月給等)
⑥請負給
 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締め切り日があるばあいには、賃金締切期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該算定期間における総労働時間で除した金額
⑦労働者の受ける賃金が①~⑥の賃金の2つ以上よりなる場合には、その部分について、それぞれ上記の方法で算定した金額の合計額
⑧休日手当(休日労働について支払われる割増賃金ではなく、所定休日に労働すると否とにかかわらずその日について支払われる賃金)その他①~⑦に含まれない賃金は、これを月によって定められた賃金とみなし、④の方法によって算出する。例えば勤務を要しない時間に支払われる中休み手当は、この方法による。

「通常の労働時間または労働日の賃金とは?

 「通常の労働時間または労働日の賃金」とは、割増賃金を支払うべき労働(時間外、休日または深夜の労働)が深夜出ない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金のことです。

 仮に、所定労働時間中にある作業に従事し、所定労働時間外に別の作業に従事したという場合は、その時間外労働に対応する「通常の労働時間または労働日の賃金」は別の作業についての所定賃金となります。そのため、例えば業務繁忙期にアルバイトを雇用して対応している事業場で、アルバイトの求人難から正社員をその休日にアルバイトとして使用する場合は、休日労働となった割増賃金の支払いが必要となりますが、その割増賃金は正社員としての賃金ではなく、アルバイトの時給の135%となります。また、割増賃金を支払うべき時間にいわゆる特殊作業に従事した場合、特殊作業についていわゆる特殊作業手当が加給される定めとなっていれば、その特殊作業手当は、当然「通常の労働時間または労働日の賃金」に含まれます。

割増賃金の計算から除外される賃金

 割増賃金の計算の基礎から除外される賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間頃に支払われる賃金です。

 これらの賃金は労務の提供に直接関係のない個人的な事情に基づいて支給される賃金ですから、これを割増賃金の計算に含め時間当たりの賃金に影響を与えるのは不適当ということと解されます。

この除外される賃金については、限定列挙されているため、これらに該当しない賃金はすべて割増賃金の計算の基礎に含めます。

また、名称が単に同じということではなく、その支給の実態で判断しますので、単に家族手当という名称で、全員一律に支給しているような賃金は、除外することができず、割増賃金の計算の規則に含まれます。

まとめ

 手当等の名称は会社によって異なります。そのため、給与計算の際に割増賃金の計算の基礎に含まれるかどうかは、名称だけでなく、中身をみる必要があります。法律で除外される賃金が定められていますのでこれらを把握しておく必要があります。


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