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 労働者を雇入れた際には、雇い入れ時の安全衛生教育が必要です。雇い入れた側(会社・事業主)はわかっているつもりでも、その職場の常識=社会の常識ではありません。労働災害を防止するためには、その職場で必要となる、安全衛生に対する知識を伝えておかなければ思わぬ事故となる場合もあります。またその事故によって会社も思わぬダメージ(社会的なイメージ、損害賠償、休業リスク等)を被る可能性もあります。

安全衛生教育の必要性

 職場における労働災害を防止するためには、機械・設備などの安全化といった災害につながる物的な原因の除去が不可欠ではありますが、それだけではなく、人的側面から労働者に対する安全衛生教育も重要となります。とりわけ、機械や設備の高度化、高年齢者の就労、パートタイム労働者、派遣労働者の増加など就労形態が多様化する中で、安全衛生教育の比重は高まっています。

労働安全衛生法の定める安全衛生教育

 労働安全衛生法は、事業者に対し、労働者を雇い入れたときおよび労働者の作業内容を変更したとき、従事する業務に関する安全衛生教育をおこなうことを義務付けています。

 事業のために労働者を使用する者に安衛法の適用があるので、事業者の企業規模は問われません。また、安全衛生教育の対象となる「労働者」は、正社員のみならず、パートタイム労働者や臨時社員、アルバイトも含み、外国人労働者や派遣労働者も含まれますので、事業者は、これらの者に対し、安全衛生教育を行わなければなりません。

雇い入れ時の教育

 雇入れ時の教育項目は、次のとおりです。

①機械等、原材料等の危険性または有害性およびこれらの取り扱い方法に関すること

②安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能及びこれらの方法に関すること

③作業手順に関すること

④作業開始時の点検に関すること

⑤当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因および予防に関すること

⑥整理、整頓および清潔の保持に関すること

⑦事故時等における応急処置および退避に関すること

⑧①から⑦までに掲げるもののほか、当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項

 なお、この教育項目は、鉱業、建設業、運送業、製造業、電気業、ガス業等、安衛令2項1号及び2号に定める業種の事業場については、全項目の教育が必要となりますが、事務労働が主体であるような「その他の業種」については、①から④の教育は省略することができます。

 また、この雇い入れ時の教育は、上記①から⑧の教育項目の全部または一部に関して、十分な知識や技能をもっていると認められる労働者に対しては、全部または一部の教育を省略することができます。

作業内容変更時の教育

 事業者は、労働者の作業内容を変更したときも、雇入れ時教育と同様の教育を行わなければなりません。

 「作業内容を変更したとき」というのは、異なる作業に転換したときや、作業設備、作業方法等について大幅な変更があったときをいい、これらについての軽易の変更があったときは含まれません。

安全衛生教育にかける時間と教育時間は労働時間となるか

 事業者が安全衛生教育にかける時間については、法令の定めはありませんが、労働者が従事する内容を踏まえて、安全・衛生を確保できる内容の教育とするべきです。

 また、安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止を図るため、事業者の責任において実施されなければならないものであり、所定労働時間内に行うべきものとなります。このように、安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解されますので、その教育が法定労働時間外に行われた場合には、36協定の締結とともに、割増賃金の支払いが必要となります。

まとめ

 雇入れ時の安全衛生教育は、パートタイム労働者やアルバイトを雇い入れた際も必要となります。サービス業などにおいては、このことが徹底されていない事業所が多くあるように感じますが、製造業や建設業においては徹底されているようなことでも、サービス業では当たり前のように省略されている事例がみられます。ただし、事故が発生した結果、教育を行っていた場合と、そうでない場合では、企業の責任の度合いは異なってきます。

まずは労働災害の防止に観点を置いた教育を実施し、労働災害が発生した場合、企業側の責任を問われないような、リスク対策も行う必要があります。