基本手当(失業保険や失業手当などとも呼ばれます)を受給するためには、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要とされています。その際の計算方法は、月給者や日給者その他で異なるでしょうか。
雇用保険法における被保険者期間は、被保険者であった機関を離職の日から遡って1か月ごとに区切っていき、このように区切られた1か月の期間に賃金の支払いの基礎となった日数が14日(短時間労働被保険者の場合は11日)以上であるときは、その月を被保険者期間1か月(短時間労働被保険者の場合は2分の1か月)として計算します。この場合、賃金の支払いの基礎となった日とは、現実に労働した日であることまでな求められず、年次有給休暇等でも計算されます。
例えば、労働基準法26条の規定による休業手当が支給された場合には、その休業手当の対象となった日数、有給休暇がある場合にはその有給休暇の日数は、賃金支払の基礎となった日数に算入されます。未払賃金がある場合でも、賃金計算の基礎となる日数が14日以上あれば、その月は期間に算入されます。
月給者についての「賃金支払の基礎となった月数」とは、月間全部を拘束する意味の月給制であれば、30日(28日、29日、31日)であり、一月中、日曜を除いた期間に対する給与であればその期間の日数となります。月給者が欠勤して給与を差し引かれた場合は、その控除後の賃金に対応する日数が、「賃金支払の基礎となった日数」となります。
日給者についても「賃金支払いの基礎となった日数」には、現実に労働した日でなくても例えば休業手当支払いの対象となった日、有給休暇日数等が含まれますので、留意する必要があります。
同一の1か月間においてA事業所のにおいて賃金支払の基礎となった日数が14日以上で離職し直ちにB事業所に就職してその月に賃金支払の基礎となったに数が14日以上ある場合でも、被保険者期間2か月として計算するのではなく、その日数はその1か月間において合計して計算されるのであり、したがって、被保険者期間1か月として計算されます。同一の1か月において、賃金支払の基礎となった日数がA事業所に8日、B事業所に6日ある場合でも、その1か月間において賃金支払の基礎となった日数は合計して14日となりますので、被保険者期間1か月として計算されることになります。
賃金支払の基礎となった日数の計算は、通常は労働時間に関係なく、暦日によるものですが、深夜労働に従事して翌日にわたり、かつ、労働時間で8時間(法定労働時間)を超える場合には、これを2日として計算し、たとえ深夜労働を行って翌日にわたっても、労働時間が8時間を超えない場合は、これを1日として計算することとされています。
日宿、宿直について、給与が支払われた場合は、その日直、宿直を行った日が一日として計算されますが、宿直の場合、その時間が8時間を超えても2日として計算しないこととされています。