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019年4月から始まった働き方改革関連法の施行ですが、一般の企業のみでなく、病院やクリニックなどの医療機関にも適用されます。ただし、一部の規定は、一般の会社等とは異なるスケジュールで施行されます。

医療機関の働き方改革関連法施行スケジュール

病院の規模の判断は?

医療機関の規模の判断は、「病床数」ではなく、「労働者数等」で判断されます。

大規模医療機関」:法人単位で、常時使用する労働者数が100人超かつ資本金の額または出資金の総額が5000万円超

中小規模医療機関」:法人単位で、常時使用する労働者数が100人以下または資本金の額または出資金の額が5000万円以下

※資本金または出資金がない場合には、労働者数のみで判断されます。

働き方改革でチェックしておくべきポイント

①年次有給休暇の5日の時季指定が義務付け

年次有給休暇が年10日以上付与される労働者に対して、自ら申し出て取得した日数や計画的付与で取得した日数を含めて、年5日取得させなけばなりません。

年次有給休暇の5日時季指定のイメージ

●自院の年次有給休暇の付与ルールを確認しましょう

職員ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者(理事長、院長等)が取得時期を指定して与える必要があります。医療機関によって基準は異なります(入社日基準での付与なのか、毎年度●月●日に一斉付与なのか)ので、就業規則を確認するなど自院のルールを確認しておきましょう。

●年次有給休暇管理簿を作成する必要があります

年次有給休暇の基準日、与えられた日数、取得・指定した時季を明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)の作成が義務付けられました。あいまいな管理体制になっている医療機関では管理方法を変更する必要があります。

●年次有給休暇を取得しやすい医療機関を目指しましょう

時季指定をするまでもなく、職員が年5日以上有給休暇を取得できるような職場づくりが大切です。休暇をとりやすいように業務内容を見直す、計画的付与を導入するなどの対策を講じましょう。

[参考]使用による時季指定の際に講じる措置

▶労働者に対して時季に関する意見を聴くこと

▶時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならない

▶使用者は、各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、労働者ごとに付与した時季、日数及び基準日を明らかにした年次有給休暇の管理簿を作成すること

労働時間の状況の把握が義務化

従来は、労働時間の状況の把握が指針で示されていましたが、この度の法改正により、労働安全衛生法の条文に加えられました。また、これにより時間外労働の規程から除外される管理監督者を含めるすべての労働者の労働時間の状況を、客観的な方法その他適切な方法で把握するよう義務付けられました。つまり、以前では、役付きの工場長など、管理監督者としている労働者には、タイムカードなどを用いた運用をしていない企業や病院においても、タイムカードやICカード、パソコンのログなどを用いた方法で、労働時間を把握しなければなりません。

これは、労働基準法41条で定める労働時間の除外規程とは異なり、労働安全衛生法では、長時間労働による医師の面接指導等からの規定のため、労基法とは関係なく、すべての労働者の労働時間の状況の把握が必要となります。

●産業医制度を活用しましょう

事業場単位で常時使用する労働者数が50人以上の場合、産業医の選任義務があります。また理事長や院長等が、自身の病院の産業医になることはできません。

●すべての職員の労働時間を把握できる体制を整えましょう

長時間労働(時間外労働が月80時間超)を行った職員がいる場合、産業医に情報提供するとともに、職員本人にも通知し、職員が申し出た場合は医師による面接指導を行わなければならなりません。まずは、すべての職員の労働時間がきちんと把握・集計できる仕組みが整っているか確認してみましょう。

[参考]管理監督者とは?

管理監督者に当てはまるかどうかは役職名のみでなく、その労働者の職務内容、勤務体系、待遇等を踏まえて実態により判断されます。

〇経営者と一体的な立場で仕事をしている

〇出勤、退勤や勤務時間について厳格な制限を受けていない

〇その地位にふさわしい待遇がなされている

これらに当てはまらない場合は管理監督者とはいえず、残業代を支給する対象となります。

時間外労働の上限規制が定められます。

医師については、2024年4月からの適用とし、現在(2019年時点)、施行内容が検討されています。

●時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることができません。つまり、恒常的に残業が発生している場合は、人が足りないのか、業務効率の問題なのか、受注過多なのか、原因を分析し、改善を図る必要があります。

臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、

年720時間以内(休日労働を含まない)

複数月平均80時間以内(休日労働を含む)

月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年6回までです。

●36協定を締結しましょう

労働時間は原則1日8時間・1週40時間以内とされており、これを超える場合は36協定(時間外労働、休日労働に関する協定)の締結、労働基準監督署長への届出が必要です(月45時間、年360時間を超える場合は特別条項付の36協定が必要です)。

●時間外労働・休日労働を最小限にとどめる工夫をしましょう

36協定の範囲内であっても、使用者(理事長、院長等)は職員に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が高まります。時間外労働がなるべき発生しないようにするため、変形労働時間制やワークシェアリング、時短勤務など柔軟な働き方の導入を検討しましょう。

●休日労働を適正に把握しましょう

「複数月平均80時間」には休日労働を含みます。時間外労働45間を超過していなくても、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月それぞれの時間外労働+休日労働が80時間を超えていないか注意が必要です。休日労働時間数を含まないのは、年間720時間を見る場合のみです。

時間外労働上限規制イメージ

中小規模の医療機関でも月60時間超えの残業には割増賃金率が引き上げられます。

2023年4月から、月60時間超の残業に対する割増賃金率が50%に引き上げられます。

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