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2019年4月から施行させた働き方改革ですが、労働基準法制定以来70年を経て初めて制定された「時間外労働の上限規制」など、長時間労働の是正に向けた改正点が多くあります。

働き方改革に悩む、中間管理職にお勧めの小説「残業禁止」

あらすじ

 成瀬和正46歳、準大手ゼネコン「ヤマジュウ建設」の現場事務所長。15階建てのホテル建設現場を取り仕切る成瀬のもとに、残業時間上限規制の指示が舞い込む。ただし納期は延ばせないという。無理難題に挑むのは、保育園の迎えがあり残業できないイクメン社員に、史上最高に使えない新人。綱渡りのスケジュールをこなすチームに容赦なく降りかかる理不尽な仕様変更、近隣住民のクレーム―。残業せずに、果たしてホテルは建つのか?

著者は、 荒木 源:1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化され、2016年には『オケ老人!』が杏主演で映画化された。著書に『探検隊の栄光』『けいどろ』『大脱走』『ヘビメタ中年!』『独裁者ですが、なにか?』『早期退職』など。

働き方改革って?

 大手企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行される「時間外労働の上限規制」。これまで36協定を締結し、さらに特別条項も締結し、所轄労働基準監督署へ届け出れば、原則的には、労働時間の上限はあったものの、実質的には青天井であった労働時間に上限が法律上規定されました。

また月80時間を超える時間外労働等では、労働者の心身の不調などに対して、労災認定がされる可能性が高く、すなわち、会社側の安全配慮に関する義務違反などの責任を問われる可能性が高い状況にあります。

会社のトップダウンによる残業禁止

 こういった社会状況のなか、当然、会社としては、法的リスクを低減させること、残業代を抑制することなど様々な理由から「残業禁止」を行う企業も多いと思われます。

 ただし、トップダウンの号令だけの残業禁止を行った結果、残業をすれば人事評価に影響するなどの理由から、いわゆる風呂敷残業(持ち帰り残業)や残業はしているにもかかわらず記録を付けない、サービス残業の温床ともなります。

労働時間の状況の把握義務化

 2019年4月からの働き方改革の一環として、労働安全衛生法が改正されました。従来はガイドラインで示されていた、労働時間の状況を把握することが法律として明文化され、法定の義務となりました。

 労働時間の状況の把握とは、タイムカードやICカード、パソコンなどを用いた客観的な記録を残す必要があります。その上で長時間にわたる時間外労働を行っている従業員等には、医師の面接指導を行う必要などが規定されています。

小説の中で部下の時間外労働を抑制し、それを補うため、管理職が代わりに残業を行うような場面もでてきます。

ただし、この労働安全衛生法の規定は、労働基準法とは異なります。

労働基準法第41条に規定される、いわゆる管理監督者(管理職)は、時間外労働による時間外割増手当や休日割増手当を支払う義務がありません。又自己の裁量で出退勤の自由の認められるなどのこともあり、従来は、タイムカード等による管理があまり求められていませんでした。これは残業=残業代という、給与計算に係る問題だったからです。

反対に、労働安全衛生法は、労働者の健康を確保するための目的で労働時間の状況の把握が必要として定められています。そのため、こちらの条文においては、管理監督者であっても労働時間の状況を把握する義務が会社にあります。

課長、部長や工場長といった管理職(管理監督者)であっても、労働者あることに変わりありませんから、長時間労働によって心身の健康を損なうことがないよう、2019年の改正で法定化されたわけです。

働き方改革への対応は?

 作中にも出てきますが、育児のため、残業はしないという社員。最近ではイクメンなどとして、男性も積極的に育児に関わる時代ですが、すべての企業で必ずしも受け入れられているわけではないのが現状ではないでしょうか?

現場が忙しい中、定時上がりの社員がいれば、不満を抱く社員も現実にはいると思います。

ただし、働き方改革の一つとして、月60時間を超える時間外労働に関しては、割増賃金率を5割以上として支払わなければならず、これは大企業では既に施行されていますが、中小企業の適用猶予措置も2023年4月以降は外されます。

必然的に会社は、月の時間外労働の時間を抑制せざる終えません。すなわち会社としても育児等にも積極的に関わり、時間外労働も押さえ、ワークライフバランスを実現する社員を奨励することとなります。

また、人手不足の時代ですから、人材の確保が難しい状況にあります。ということになれば、様々な人が働ける環境を作っていく必要があります。

会社としては、研修や説明会などを通じて、多様化する社内の人員が個々の能力を発揮してもらうことが業績にも影響しますし、そのような多様な働き方ができる企業が今後は、人材確保の面でも有利に働きます。

先ほどの残業禁止の号令同様に、こちらもただの掛け声だけでに終わってしまえば、会社に浸透することはありません。従業員が相互に理解し合うということは会社の風土を作ることですので、時間もかかりますし、号令だけではない、本気の取組みが必要となります。

本書では、そのような点が非常に示唆に富んだ内容となっており、考えさせられる場面が多く、また働き方改革の本質を突いた内容となっています。

まとめ

 働き方改革は、もはや国の流れです。労働人口の減少、日本経済の活性化などを考えた場合、後戻りすることはありません。

 中小企業では、今後、対応するべきことがたくさんあります。

 残業を隠すのではなく、会社としていかにして労働生産性をあげるかに係っています。業務を効率化し、労働生産性を上げることで、業績の向上にも当然つながりますし、従業員が働きやすい環境を整備することができれば、人が集まりやすく、事業が継続していく企業となれます。これは何も大企業に限った話ではなく、中小企業も同様です。

何から対応していいか、分からないという企業の方は、是非、専門家へアウトソーシングしてください。プロの手法で一緒になって、会社の業績アップ、企業の存続をお手伝いさせていただきます。

助成金・給与労務手続きセンター

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