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新型コロナウイルス感染症の影響で、普段の労務管理とは状況が異なる、労務管理の問題が出ています。

テレワークの普及による、働き方の変化(改革)。

新型コロナウイルス感染症の影響による休業や、小学校等の休校に伴う休暇の取得申請、テレワーク時の遅刻や早退、中抜けなどの対応。

これまではタイムカードの打刻のみで対応できていたものが、新型コロナウイルス感染症の影響により、働き方が変化し、勤怠管理や労務管理についても従来にはなかった対応が求められてきています。

年次有給休暇の付与日数

労働基準法では、年次有給休暇の付与日数が定められています。

下表のように入社から0.5年(6か月)経過後に10日、1年6か月後に11日と最大1年間で20日が付与されることが定められています。

この期間は、いわゆる在籍期間と解されます。産前産後休業期間中や育児休業期間中はもとより、業務外の傷病による、病気休職期間中も在籍があれば、通算されます。

パートタイマーなどの付与日数⁈

1週間の所定労働日数が4日以下で、週所定労働時間が30時間未満の労働者に対しては、基本の付与日数よりも少ない日数が付与されることが規定されています。

週によって所定労働日数が変動する場合は、年間の所定労働日数で判断します。

1日2時間、週5日勤務のパートタイマーの有給日数は?

週5日勤務している場合には、上記表の比例付与の対象とはなりません。

たとえ、1日の所定労働時間が2時間であったとしても週5日勤務しているのであれば、年次有給休暇の付与日数は、原則どおりの付与日数となります。

働き方改革における年次有給休暇、年5日の取得義務化!

週1日のアルバイト等であっても6か月勤続することで、1日の年次有給休暇が法的には付与されます。

2019年4月から施行された働き方改革関連法。

この改正によって、年10日以上年次有給休暇が付与される労働者には、付与日から年5日以上の取得(消化)が義務付けられました。

取得されていない場合は、30万円以下の罰金が課されます。

そもそも年次有給休暇の取得率が欧米諸国に比べて、低かった日本ですが、長時間労働や過重労働など、働きすぎが懸念されて、休暇取得の促進は、国としての課題とされていました。

年次有給休暇が年10日以上付与される労働者は、原則どおりであれば、入社後6か月を経過した労働者は、10日となります。

週4日勤務の労働者で3年6か月経過、週3日勤務の労働者であれば、5年6か月を勤続した労働者については、この年5日の取得義務の対象となります。

労働基準法は、最低限度の労働条件等を定めた法律ですので、当然、5日以上取得されることが望ましいのは、言うまでもありません。

請求されたら「拒めない」⁈

年次有給休暇は原則として、「労働者の請求する時季」に与えなければならないとされています(労基法第39条第5項)。

「時季」という言葉ですが、これは春季、冬季などのシーズンを含む「時期」という意味ですので、具体的な月日を指定しなくても良いことになります。

また連続した日数や分割した日数であっても良いことになっています。

ただし、労働者から年次有給休暇を請求された場合、会社(事業主)は、「事業の正常な運営を妨げる」場合には、事業運営との調整を図るため、使用者はほかの時季に休暇を与えることができる、いわゆる「時季変更権」があります。

つまり、労働者の請求に対して、使用者はこれを拒むことはできず、請求された時季を変更することができるにとどまります。

また「事業の正常な運営を妨げる」場合というのは、年末などの業務繁忙期に複数の労働者から年次有給休暇の取得についての請求がなされるなど、全員に対して同時に年休取得を認めることが難しい場合など、その会社の状況など、個別具体的に判断されますが、通常考えて代替要員を確保しておくなどの措置を怠っているなどの場合は、時季変更権については、客観的、合理的に判断し、認められないケースもありますので注意が必要です。



欠勤が多いと年次有給休暇は与えられない?

年次有給休暇付与の要件は、次の2つです。

①1年間(初年度は6か月)継続勤務していること

②初年度は雇入れ後6か月間、その後については、前1年間の出勤率が8割以上であること。

欠勤などが多い場合、出勤率が8割を下回る場合については、その年の付与日数は原則「0日」となります。

継続勤務する労働者に対して、休暇を与え、リフレッシュさせることが年次有給休暇の目的ですので、そもそも、出勤が少ない労働者に対しては、「0日」となります。

あくまで、労働契約上の所定労働日数(全労働日)の8割以上が要件ですので、正社員が欠勤が多く、8割を下回った場合に、2つ目の表のように週4日勤務の場合に当てはめて7日などを付与する必要はありません。

ただし、例えば入社から6か月間は欠勤が多く、8割を下回り、年次有給休暇権が発生しなかった労働者に対しても、次の1年間で8割以上の出勤があれば、その労働者に対しては、10日の付与ではなく、表のとおり、11日の年次有給休暇を付与する必要があります。

この出勤率の算定に当たっては、業務上の傷病(労災)や産前産後休業期間中、育児休業期間、介護休業期間中の日数は、出勤したものとして取り扱います。

また年次有給休暇を取得した日についても、出勤率の算定に当たっては、出勤したものとして取り扱います。

では、欠勤ではなく、「遅刻」「早退」した日については、どうでしょうか?

遅刻、早退については、1労働日の所定労働時間の一部について就労していませんが、出勤率の計算上の出欠は、労働日を単位として計算することになりますので、「遅刻」や「早退」を「欠勤」として取り扱うことはできません。

新型コロナウイルス感染症の影響による、生産調整などの休業日については、どうでしょうか?

休業日は、本来、出勤すべき日ですが、会社の都合により、労働者を休業させる日を休業日といいます。

欠勤と異なり、労働者の責に帰すべき事由による「不就労日」ではなく、「使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業」や「不可抗力による休業日」に該当する可能性がありますので、このような休業は、労働者が就労を希望しているにもかかわらず、会社側が就労を拒否しているものであり、その限りにおいては事実上、労働の義務が免除されていると考えられるので、出勤率の算定に当たっては、この休業期間中は、出勤率の算定に当たっては、分母となる「全労働日」から除外することになります。

つまり、本来出勤すべき日について、欠勤した場合は、出勤率の算定に影響しますが、産前産後休業期間中などは、出勤したものとして取り扱い、生産調整などの休業日については、分母となる、全労働日から除外されることになります。



関連リンク「パートさんでもアルバイトでも有休はあります

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