• TEL: (0823)25-5015
  • 助成金情報・人事労務に関する情報を社会保険労務士が徹底解説

 社員に給与を支給する際、毎月、給与明細書を交付されていると思います。給与明細書は法律上、どのように定められているでしょう?

 労働基準法では、「給与明細書」として支払った賃金の項目ごとの金額はおろか、賃金霜害についても書面で交付・明示する義務を課す定めはされていません。

 労働基準法が定めているのは、いわゆる賃金支払いの5原則や口座払いの要件、雇入れ時の賃金明示義務や就業規則における賃金に関する定めをするべき義務、それに賃金台帳の整備義務です。

 このうち、賃金台帳の整備義務では、「基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額」を記入しなければなりませんが、賃金台帳は事業場に備え付けるものであり、社員それぞれに交付するものではありません。

したがって、労基法では特段給与明細書を交付しなければならないというような義務は定められていないということですが、実際には賃金の口座払いに関して厚生労働省が出している労基法第24条関係の行政指導において、口座振り込みの対象となった労働者に対し、基本給、手当その他賃金の種類ごとの金額、口座振り込みを行った金額、について記載した計算書を交付することを「指導されたい」とされています。

つまり、労基法上の義務はないのですが、賃金の口座払いをする場合は、こうした行政指導を監督署等から受けることはある、ということになります。

ただし、賃金の支払い等に関する法令は労基法の他にもあり、労働保険徴収法や健康保険法等との関係もあって給与明細書の交付が行われている、ということです。これらの法令では、正確には、保険料の控除に関する計算書の作成とその控除額の通知の義務が定められています。

 これらのことから考えれば、何も交付しないというわけにもいきませんし、わざわざ今までの給与明細書に代えてより簡便な書式を考える手間等をかけても、項目不足等があれば先ほどの指導通達等に基づく行政指導を受ける可能性もありますので、給与明細書の交付は継続することが妥当です。

所得税法では、給与支払者は給与の支払いを受ける者に支払明細書を交付しなければならないと定めており、税法との関係では支払明細書の交付を省略することはできないとされています。