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労働者を10人以上、雇入れる事業所においては、就業規則の作成と届出が労働基準法により、義務とされています。

厚生労働省では、モデル就業規則を公開していますが、令和2年11月版が公表されました。

この度の改定では、パワーハラスメント対策の法制化などの最近の法改正の内容を中心に、モデル就業規則が微調整されています。
また、副業・兼業の労働時間の取扱いについても、解説において、最近の通達の内容などが盛り込まれています。

現在、新型コロナウイルスの影響により、雇用調整助成金等を活用しながら、休業をされている事業所も多くあると思います。

雇用調整助成金が現在、特例措置により、中小企業で解雇等がない場合は、助成率が100%、助成金の日額が15,000円が上限とされるなど、様々な特例が施されています。

この特例については、現在、令和3年2月末まで延長とされています。

特例措置期間中は、休業手当の支払い率を10割とされている会社も多いと思います。

特例措置が終了し、雇用調整助成金等の受給率が引き下げられた場合、休業手当の支払い率を変更されることを検討されている会社もあると思います。

そうした場合、残業がなく、時間外割増手当の支払や、基本給等も引き下げられた場合は、副業や兼業を申し出られることも多いかと思います。

今回の厚生労働省モデルでは、副業・兼業についての条文も最後に記載があります。これは、従来からの副業・兼業の推進に基づくものではありますが、大変参考になる箇所もあります。

「そもそも、業務時間外の兼業や副業について、使用者が制限をかけることができるのか。」

そこが判断の分かれ目になってくると思います。

【厚生労働省モデルから抜粋】

(副業・兼業)

第68条

労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該 業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は 制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

厚生労働省モデルでは、基本的には、兼業・副業を認めています。

ただし、会社の業務上の必要性から一定の制限をかけています。

①については、本業への支障ですが、業務終業後、副業などを行う場合、通常は、深夜などの副業が想定されます。そのため、遅刻や勤務時間中の居眠りなど、本業への支障を来す場合が想定されます。

また、長時間労働による過重労働につながる恐れや、時間外割増手当の観点からも気になるところです。そういったことから、「届出」をなっているものと思われます。

②~④に関しても条文から想定されるイメージはわきますが、「届出」で良いかどうか。検討される必要があると思います。

厚生労働省モデルでは、解説として、過去の裁判例等が示されていますが、いずれにしても副業・兼業を規制することへの「業務上の必要性」と「社会的・客観的に合理的な理由」があるかどうかが問題となります。

また労働契約は、基本的には長期的な信頼関係が基礎となってきますので、筆者としては、「許可制」を取られることが良いのではないかと思います。

規定すらないという会社であれば、この度を機に検討されることをお勧めします。

➡厚生労働省 令和2年11月版就業規則モデル